秋になると、毎年うちの娘は詩吟の稽古を始めます(秋限定)。A田です。
さてさて、ブエルタが遠い過去のようですが…実際、2週間ほど経っていますが…
3週目が“嵐”だったのははっきり覚えています。
というわけで、楽しかったグラン・ツールシーズンを思い出しながら、振り返ってみたいと思います!
ブエルタ2019の3週目、各ステージの結果一覧
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合リーダージャージ、マイヨロホは誰の手に!?
3週目の結果はこうなりました。
1週目の記事はこちら「ブエルタ・ア・エスパーニャ1週目―楽しいモビスターのトリプルエース」
2週目の記事はこちら「【ブエルタ・ア・エスパーニャ2019】2週目―スロベニア・デュオが爆誕」
日程 | Stg | コースなど | 時間 | 実況/解説 |
9/11(水) | 17 | 丘陵 アランダ・デ・ドゥエロ 〜 グアダラハラ 219.6km | フィリップ・ジルベール | 1.ログリッチェ 2.ナイロ・キンタナ +02:24 3.バルベルデ +02:48 4.ポガチャル +03:42 5.MAロペス +04:09 |
9/12(木) | 18 | 山岳 コムニダ・デ・マドリード.コルメナル・ビエホ 〜 ベセミル・デ・ラ・シエラ 177.5km | セルジオ・イギータ | 1.ログリッチェ 2.バルベルデ +02:50 3.ナイロ・キンタナ +03:31 4.MAロペス +04:17 5.ポガチャル +04:49 |
9/13(金) | 19 | 丘陵 アビラ 〜 トレド 165.2km | レミ・カヴァニャ | 1.ログリッチェ 2.バルベルデ +02:50 3.ナイロ・キンタナ +03:31 4.MAロペス +04:17 5.ポガチャル +04:49 |
9/14(土) | 20 | 山岳 アレナス・デ・サン・ペドロ 〜 プラタフォルマ・デ・グレドス 190.4km | タデイ・ポガチャル | 1.ログリッチェ 2.バルベルデ +02:33 3.ポガチャル +02:55 4.ナイロ・キンタナ +03:46 5.MAロペス +04:48 |
9/15(日) | 21 | 平坦 フエンラブラダ 〜 マドリード 106.6km | 23:55~4:55 | 1.ログリッチェ 2.バルベルデ +02:33 3.ポガチャル +02:55 4.ナイロ・キンタナ +03:46 5.MAロペス +04:48 |
第17ステージ: 横風が呼んだクレイジーな展開。フィリップ・ジルベール2勝目
びっくりしました。
J SPORTSオンデマンドで視聴始めたら、残り5km地点だったのですよ。219.6kmあるコース。アップダウンあり。
ドゥクーニンク・クイックステップが仕掛けたという横風分断作戦により、放送開始当時、先頭集団とマイヨロホのいるメイン集団には6分もの差がありました。そして、先頭集団には、総合順位を6位まで下げていたナイロ・キンタナがいたのでした。
ステージ優勝はジルベール。2勝目!!
「平坦路でも75km/hは出ていたと思う。54x11Tというギアを用意してたけど、ずっと回りっぱなしだった。17年のキャリアの中で初めての経験。とてもクレイジーなレースだった。チームのDNAでもある横風とエシュロンのステージで成績を残すことができて本当に良かった」
cyclowired.jp「 平均50km/h超の強風ステージでジルベール2勝目 キンタナが総合2位に浮上する 」
37歳の大ベテラン、ジルーベールですが、平均時速50kmものスピードで200km超のステージを駆け抜け、「こんな経験は初めて」と語りました。
来季は、やはりベルギーチームであるロット・ソウダルに移籍するジルベール。クラシックシーズンが楽しみです!
今年のパリ・ルーべで勝ったジルベールの記事「パリ~ルーベ2019の勝者―フィリップ・ジルベールという男(漢)」
横風についてはこちらの記事をどうぞ「パリ~ニース2019―北フランスをなめるな!横風に荒れるエシュロンのレース」
そして、マイヨロホを手堅く守ったものの、キンタナに2位まで迫られてしまったログリッチェ。
「ミスを犯してしまった。スタートの時点から常に集団の前方に位置しておくべきだったんだ」
同上
とはいえ、「まだ状況はいい」と語りました。
たしかに、3週目で2分以上の差。これがひっくり返ることは…珍しくはないかもしれないけど、そんなにしょっちゅうあるわけでもない。としかいえない。
第18ステージ:22歳コロンビア人クライマー、セルジオ・イギータ逃げ切り勝利!
今大会、リゴベルト・ウランをはじめ有力選手が相次いでリタイヤしてしまい、「お祓いが必要」とまで言われていたEFエデュケーションズ。
最後の1級山岳で逃げ集団から飛び出した、22歳のコロンビア人、セルジオ・イギータが独走勝利を決めました!
今年5月にコンチネンタルチームからEFエデュケーションに加入したイギータ。その直後、ツアー・オブカリフォルニアで総合2位になっています。
「昨日の強風ステージで総合トップ10を諦めないといけない状況になったので、今日のステージのために脚を溜めるようにして走った。スタート地点に向かうチームバスの中で寝落ちしてしまうほど疲れていたけど、そこで気持ちはリフレッシュしたし、体力が回復したんだ」
「最後のコトス峠の登坂中も力強さを感じたし、今日はパーフェクトなステージだった。でも追走グループが近づいてきたので最後まで気を抜くことができず、残り5km地点まで勝利を確信できなかった。このブエルタは諦めないことの大切さを教えてくれる。どんなに悪いことが起こっても戦い続けないといけない。全てのステージ優勝者にはそれぞれの物語があるんだ」
cyclowired.jp「 GT初出場の22歳イギータが独走勝利 攻撃を繰り返したロペスがヤングライダー賞首位に 」
なんでしょうか。この感動的なコメントは。
総合争いでは、MAロペスが積極的に仕掛け、4位に浮上。キンタナ、ポガチャルは遅れてしまいました。
第19ステージ:雨と強風に荒れたレースでレミ・カヴァニャが逃げ切り!
丘陵ステージでひと息つけるかと思いきや(「3週目は世界選手権に忖度して今年はきつくない」という説の出どころか)。
雨。強風。マイヨロホを含む集団落車発生。
「リーダージャージが不慮の事故で遅れた場合、集団は待つ」という、ロードレースの“不文律”または“紳士協定”。しかしこの日、モビスターは逆にアタック。1分以上の差をつけてからペースダウンするという事態になりました。
「もともとアタックする予定の区間だった」とレース後にモビスターの監督が弁明していましたが。選手たちはといえば、MAロペスが「リスペクトを欠いている」と激おこでコメントする反面、ログリッチェは「正しく状況を把握していないのでコメントできない」と言っていました。クール。
さてレースに戻ると。トレド市街地を前に、逃げグループから飛び出したドゥクーニンク・クイックステップのレミ・カヴァニャが集団から5秒差で、からくも独走勝利!
この日のゴール地、トレド旧市街地は石畳で街並みも美しく、クラシックレースのようでしたね。
「最後の逃げ切りのチャンスをしっかり掴むために全力を尽くしたんだ。今日はフィリップ(ジルベール)でステージ優勝を狙う作戦だったけど、大きな逃げグループが形成されつつあったので飛びついた。終盤はとても苦しんだよ。(独走に持ち込んだ)ラスト25kmは酷いものだった。もっと速く走りたかったけど、強い向かい風のおかげでスピードを上げることができなかった。後続に追いつかれるんじゃないかとずっとハラハラしていたけど、最後まで逃げきれて本当に良かったよ。最終ストレートに入ってから振り返ると、最終コーナーを曲がる彼らの姿が見えた。でも追いつかれる距離じゃなかったので勝利を確信したんだ」
cyclowired.jp「 雨による落車や風による分裂が発生した荒れた1日 トレドの石畳坂でカヴァニャが独走勝利 」
カヴァニャの異名は「クレルモンフェラン生まれのTGV(テジェヴェ)」というらしいですよ。フランス出身24歳です。
第20ステージ:総合争い、ついに決着! しかもまた勝ったよポガチャル!!
アスタナのMAロペスもガンガンに攻撃したんですけどね。
ユンボ・ヴィズマ、そしてログリッチェは崩せませんでした。
最後の1級山岳では総合トップ5がアタック合戦。そこからひとり抜け出したのが、総合5位のタデイ・ポガチャル。4位のスーパーマン・ロペスは追えませんでした。
ポガチャルはそのまま、先頭を逃げていた2人をかわし、3級山岳を含む約40kmを独走。今大会3勝目をあげました! すごい…
「忍耐強さが必要だった。脚の状態は良かったけど、ステージ前半はモチベーションが上がらず。でも冷たい雨でライバルたちが本調子ではないと感じて、最後の1級山岳でアタックした。その前にロペスがアタックを繰り返していたので、良いタイミングだったと思う。沿道のスロベニアファンや家族の声援が支えになったよ。彼らのおかげで最後の1時間を全開走行できたんだ」
cyclowired.jp「 最終山岳で3勝目を飾ったポガチャルが総合3位返り咲き ログリッチェが総合優勝に王手 」
家族もファンも、スロベニアから駆けつけるでしょうとも。私も将来、日本人ライダーが同じようなシチュエーションになったら日本から駆けつけて応援したい!!
スロベニア人初のグランツール総合優勝が(実質)決まったその日に、スロベニア人がステージ優勝するなんて、お祭りですよね。
この日、ユンボ・ヴィズマのプリモシュ・ログリッチェが実質的な総合優勝を決めました。
「ほっとしている。この笑顔は本物。これまではこっそりとしか笑っていなかったから」
「今日もスロベニアの勝利。昨日は激しい落車に巻き込まれたけど、強力なチームのサポートを得て総合首位の座を守ることができて本当に嬉しい。明日の最終ステージが楽しみ。明日のステージが終わるともっと笑顔が出てくると思う」
同上
「笑顔が乏しい」「クールすぎる」というメディアの評があったそうです。感情を表に出すタイプじゃないんでしょうね。でも朴訥としたコメントから誠実さがにじみ出てるような気がします。
ログリッチェのデビューにまつわる2つの記事もどうぞ
「ツール・ド・ロマンディ2019―まとめとログリッチェの物語~プロ入りまで」
「ログリッチェのデビュー、雪の壁、ニバリの涙―ジロ・デ・イタリア2016ハイライト」
4賞はこうなりました。山岳賞はマドラソからAG2Rのブシャールへ、新人賞はMAロペスからポガチャルへ。
(メガネ男子のマドラソ、残念)
第21ステージ:ウルフパック強い!ファビオ・ヤコブセン勝利
最終日はマドリードへ。前半はパレードランです。
4賞の面々…5人いるけど。
ポイント賞ジャージは繰り下げでバルベルデ…と思いきや、バルベルデはアルカンシェルを着ているため、繰り下げの繰り下げで4位のキンタナが着ました。
これには「ポイント賞ジャージをなめてもらっちゃ困る」と解説の栗村さんがコメントしていましたね。
各賞ジャージはスポンサーがついてけっこうなお金が発生しているので、それなりの格の選手が着用するべきだと。本当にそのとおりで、たとえばサガンがアルカンシェルだからポイント賞ジャージ着ないなんてこと、あり得ません。
まあ、バルベルデも繰り下げじゃなければ緑を着たと思うんですよね。
でも今回は、繰り下げだから。そもそも、昨年表彰台にもあがってないのにゼッケン「1」をつけている時点で、バルベルデは特別だから。みんな1秒でも長くバルベルデのアルカンシェルを見ていたいんです!
はい。長くなりました。
おめでとう!ログリッチェ。ユンボ。
そしてスロベニアのふたりのショットには、感動して涙が出ました。(本当に)
マドリード市街地のゴール前では、バーレーン・メリダの新城もスプリントに加わりました! 12回目のグランツールをステージ15位で締めくくりました。
勝ったのはドゥクーニンク・クイックステップのファビオ・ヤコブセン! ボーラ・ハンスグローエのサムベネットを差しきりました。
「残り1kmからのポジション争いは壮絶だった。残り700mでトレックが先頭に立って、その後ろにマックス(リケーゼ)が入り、振り返るとサム・ベネットがそこにいた。彼の最後の追い込みが鋭いことが分かっていたので、できるだけ長く待ってから全力でスプリントしたんだ」
「マドリードにたどり着けるかどうかも自信がなかった。初めてのグランツールであり、とても苦しんだよ。気持ちを和らげてくれたステージ1勝目に続く2勝目で月にも昇る気分。夢が叶ったよ。この勝利で世界トップ10のスプリンターに仲間入りしてもいいんじゃないかと思う」
cyclowired.jp「 新城が15位に入った最終スプリントでヤコブセン2勝目 ログリッチェが第74代ブエルタ覇者に 」
ヤコブセンは、現オランダ・ロードレースチャンピオンで、23歳になったばかり。(なんか違和感を感じて1週目のレポートを見たら、22歳と表記していました。すみません、修正しました!)
そして。
「ブエルタを制することができて最高の気持ち。しかも同じスロベニア出身者と一緒に総合表彰台に上るなんて。この勝利で歴史に名前を刻むことができたと思う」
同上
おめでとう! ログリッチェ!!
39歳のバルベルデが2位。21歳のポガチャルが3位。
チーム賞はモビスター、総合敢闘賞はスーパーマンことMAロペスが獲得しました。
さあ、グランツールシーズンが終わりました。
このあとは世界選手権からのロードレース観戦秋の陣ですね。(世界選手権の最終日、明日だけど)
楽しみです!