4年使っているPCがいよいよ…かもしれません。A田です。
ジロ・デ・イタリア2019、この週末でいよいよ決着ですね! 三週間、長いと思っていたけれどふり返ればあっという間でした。
現在、DAZNでは、2017、2018のハイライトが見られますが、ジロが終わったらこれらも終了してしまうでしょう… そして私はDAZNでは見られない、2016年のジロについて書こうと思っていたのですが、それも期限ギリギリ… いや、書くぞ!
というわけで、かなりの私的見地から2016年のジロ・デ・イタリアをまとめたいと思います。
1st.コンマ差でデュムランがログリッチェを下す
2016年のジロ・デ・イタリアは、オランダのアーペルドールンで開幕しました。第1ステージは個人タイムトライアル。「デュムラン優勝しろ」といわんばかり、いやもう言ってる。みんな言ってる。そんなステージでした。
前年2015年のデュムランの話はコチラ「ジロ・デ・イタリア2019―最注目選手、トム・デュムラン(ココア君)」
結果は、デュムラン貫禄の優勝! …ではありましたが、なんと2位のログリッチェとは見た目同タイム、100分の1秒差だったのです。
2016 Giro d’Italia: Stage 1 – Highlights
当時26歳のログリッチェは2016年にロットNLユンボ(現ユンボ・ヴィスマ)入りし、1月のツアー・ダウンアンダーでワールドツアーデビュー。その後2月にポルトガルで行われるヨーロッパツアー「アルガルヴェ一周」というレースでG.トーマス、ヨン・イザギレ、コンタドール、ティボー・ピノに続く総合5位。ユンボ期待の大型新人であることは間違いありませんでした。
が、私のような一般観衆にとっては、まさに彗星のような登場だったのです。
ログリッチェのプロ入りまでの話はこちら「ツール・ド・ロマンディ2019―まとめとログリッチェの物語~プロ入りまで」
いやー、びっくりでしたね。(←ひどい感想)
8th.デュムランが不調に沈む。ブランビッラが表彰台で跳ねる
第1ステージでマリア・ローザを着たデュムランは、スプリントステージで1度キッテルに譲った以外、第8ステージまでキープ。「高い山に対応する準備はしてきていない」と本人は総合優勝の可能性を否定してはいたけれど、よもや…と思わせてくれました。
Giro d’Italia 2016: Stage 8 highlights
しかし、股擦れという不調を抱えていたデュムランは第8ステージで大きくタイムを失い、11位へ陥落。この日、逃げグループからひとり飛び出したジャンルーカ・ブランビッラがグラン・ツール初勝利。マリア・ローザに袖を通したのでした。
ブランビッラが表彰台でピョンッと飛び跳ねたのは、このときです。
デュムラン残念だったけど、ブランビッラが可愛かったからまあいいかと…
9th.ログリッチェ2度目の正直でグラン・ツール初勝利
デュムランに有利に働くと思われていた中盤の個人T.T.。しかし奮わず、15位。翌日にジロを去ることになります。
Giro d’Italia 2016: Stage 9 highlights
かたや、ログリッチェ。Ciclissimo No.51によると、出走ギリギリでバイクが規定外と判断され交換に。パニックになり、調整前の状態でボトルも積まずに出走してしまったそう。コースは40.5kmあるのに…。しかも、10km地点でサイクルコンピューターを落としてしまい、残り距離は道端の表示板で確認するしかない状態。わやくちゃです。
「意欲は完全に喪失した」しかし、最終盤では「もはやあらゆるプレッシャーから解放された僕は、全力で走ることに決めたんだ。ただ楽しんで走ろう、って」
ログリッチェが走った後、雨が本降りになったことも手伝って、誰も彼のタイムを越せず。ログリッチェ、グラン・ツール初出場で初優勝!
10th.チッコーネが21歳の若さで区間優勝!
今年トレック・セガフレードに移籍し、ジロでは山岳賞ほぼほぼ確定。ステージ優勝も決めるなど大活躍のジュリオ・チッコーネ。2016年のジロで、史上3番目の若さでステージ優勝しています。
2016 Giro d’Italia stage 10 highlights
また、前日のタイムトライアルで健闘しマリア・ローザを着ていたブランビッラでしたが、この日総合首位をキープすることはできないと悟り、チームメイトのボブ・ユンゲルスのために献身的にアシストしました。
その甲斐あって、ユンゲルスはこの日から3日間、マリア・ローザを着用しました。
14th.チャベスがステージ優勝! クライスヴァイクが総合首位に躍り出る
2019年のジロ、昨日19ステージで優勝を決めたエステバン・チャベスですが、2016年のジロでは区間1勝、総合2位という成績でした。
Giro d’Italia 2016: Stage 14 Highlights
そして、ステーフェン・クライスヴァイク。ようやく登場ですよ。この年のジロで、「クルーシュウィック」というイタリア読みから「クライスヴァイク」という現地読みになりました。
「日本のような非横文字圏の国は、現地読みで対応すべき」という主張はもっともで、現地読みを尊重するのも大事なことだと思います。でも、日本人でもロードレース関係者の多くがイタリアやフランスの言語・文化を身につけているわけで、そのバックグラウンドはガン無視するの? とも思いました。今でもちょっと思ってます。
とにかくクライスヴァイク。ログリッチェと同じ現ユンボ・ヴィスマのオランダ人クライマーです。ずっと総合上位につけていましたが、この日、ついにマリア・ローザを着ました。
私も俄然、クライスヴァイクを応援し始めましたよ。
19th.クライスヴァイクがチマ・コッピ頂上で雪壁に激突。この日の因縁が今も
あかん。疲れてきました。読むほうも疲れますよね…
クライスヴァイクは、この日まで、総合首位を守ってきました。そして、ニバリは14ステージでは41秒差の2位につけていたものの、15、16とタイムを失い、この日は、2位のチャベス、3位のバルベルデに次ぐ4位。クライスヴァイクとは4分43秒という差がありました。
2016 Giro d’Italia stage 19 highlights
この大会のチマ・コッピ、コッレ・デッラニェッロの頂上のことでした。クライスヴァイクのクラッシュは「一瞬の集中力の途切れから」ということでしたが、ライバルが激坂に苦しんでいるのを見てとったニバリが、クライスヴァイクに強烈なプレッシャーを与え続けた結果、とCiclissimoのQUENETさんの記事にありました。
ユンボ・ヴィスマとニバリには、こういう因縁があるんですね。今ジロでも、ニバリとログリッチェの対決を扱う際に、取り沙汰されているようです。ニバリはリーダー・ジャージのメカトラ時にアタックするなど、“紳士的”とは言いがたい一面がありますが、このクラッシュはクライスヴァイクのミスであり、正当なアタック。でも、それを誘ったのは、勝利に貪欲な「鮫」の走りだったのかも。
普段はもの静かで実直なシチリア男。でも、レースでは鮫のように激しく喰らいつく。そういうところが、イタリア中のファンを惹きつけているんじゃないでしょうか。先日解説に来たマルコ・ファヴァロさんも「イタリア国内の人気はニバリが圧倒的」と言っていましたね。
この日は、頂上からのダウンヒルでライバルを引き離したニバリが優勝。前日まで総合2位だったチャベスがマリア・ローザを着ました。
20th.アスタナのチーム力+ニバリ独走=逆転マリア・ローザ
そして第20ステージ。アスタナはチーム力を生かして、スカルポーニ、フルサングの強力な牽引でライバルたちを揺さぶります。そして、前待ちしていたカンゲルト。この日逃げからステージ優勝を決めたカチューシャのレイン・タラマエを同じエストニア人レーサーとして手助けしたのち、ニバリをガンガンに引きました。
2016 Giro d’Italia stage 20 highlights
最後は、ニバリの独走。前日まであったチャベスとの44秒差をひっくり返して、総合首位に。最終ステージはトリノの周回コース、ここでニバリのジロ・デ・イタリア総合優勝が決まりました。

自転車にまたがったまま、総合優勝の決定を聞いたニバリは、ハンドルの上につっぷして泣いていました。今回、第20ステージのフル動画を見ても、いまいち確認できなかったのですが、脳裏に焼き付いているんですよね。フル動画では少なくとも、独走するニバリにかけられるイタリア人の声援の大きさを見ることができます。
同じくイタリア中が歓喜したニバリの勝利「ミラノ~サンレモ2019―DAZN配信予定 & 2018ハイライト:ニバリの勝利は必見!」
アスタナについてはこちら「春のアスタナ祭り! スカルポーニに捧げる勝利―ティレーノ&パリ~ニース閉幕」
はい。
ここまでコツコツまとめていたこの記事、今ジロ・デ・イタリア2019の第20ステージを見ながら仕上げています。
誰が勝っても全力で祝福できるのが、ロードレース。
今年はどうなる!?
楽しみです!!!