子どもたちの二学期が始まりました。学校があればあったで忙しい! A田です。
ブエルタ・ア・エスパーニャの第1週目が終わりました。なーんて書いている間に、2周目も終盤に差し掛かっていますが…
J SPORTSの中継は、ずいぶん最後のほうから始まりますね。まあ、短くて助かる部分もあるのですが…まだリアルタイムまでには追いついていません…
が、コツコツまとめた1週目のレポートです!どうぞ!
ブエル2019の1週目、各ステージの結果一覧
こうして並べないと、すぐ忘れてしまうのです… 海をバックにしたチーム・プレゼンテーション、なんだかすごく前のことのように感じます。
日程 | Stg | コースなど | ステージ 優勝 | 総合順位 |
8/24(土) | 1 | チームTT サリナス・デ・トレビエハ 〜 トレビエハ 13.4km | アスタナ | 1.MAロペス 2.カタルド 3.フルサング |
8/25(日) | 2 | 丘陵 ベニドルム 〜 カルペ 199.6km | ナイロ・キンタナ | 1.ロッシュ 2.キンタナ +00:02 3.ウラン+00:08 |
8/26(月) | 3 | スプリンター向け イビ、シウダー・デル・フグエテ 〜 アリカンテ 188km | サム・ベネット | 1.ロッシュ 2.キンタナ +00:02 3.ウラン+00:08 |
8/27(火) | 4 | スプリンター向け クリェラ 〜 エル プイグ 175.5km | ファビオ・ヤコブセン | 1.ロッシュ 2.キンタナ +00:02 3.ウラン+00:08 |
8/28(水) | 5 | 山頂フィニッシュ レリアナ 〜 ハバランブレ天文台 170.7km | アンヘル・マドラソ | 1.MAロペス 2.ログリッチェ +00:14 3.キンタナ +00:23 |
8/29(木) | 6 | 山頂フィニッシュ モラ・デ・ルビエロス 〜 アレス・デル・マエストラット 198.9km | へスス・エラダ | 1.トゥーンス 2.デラクルス +00:38 3.MAロペス +01:00 |
8/30(金) | 7 | 山頂フィニッシュ オンダ 〜 マス・デラ・コスタ 183.2km | アレハンドロ・バルベルデ | 1.MAロペス 2.ログリッチェ +00:06 3.バルベルデ +00:16 4.キンタナ +00:27 |
8/31(土) | 8 | 上り基調平坦 バルス 〜 イグアラダ 166.9km | ニキアス・アルント | 1.エデ 2.トゥーンス +02:21 3.MAロペス +03:01 |
9/1(日) | 9 | 山岳 アンドラ・ラ・ベリャ 〜 コルタルス・デンカンプ 94.4km | ポガチャル | 1.キンタナ 2.ログリッチェ +00:06 3.MAロペス +00:17 4.バルベルデ +00:20 5.ポガチャル +01:42 |
第1ステージ:アスタナがチームTTを制す
初日のチームTT(タイムトライアル)は、アスタナ勝利!
ただ、優勝候補と目されていたユンボ・ヴィズマは集団落車。その直後に走ったUAEチームエミレーツは全員が落車と、残念なアクシデントが起きました。後日の情報では、観客が水遊びをしたプールの水が道路に漏れ出していてスリップしてしまったのだそうです。
ともかく、アスタナトレインのなかで先頭でゴールしたのは、エースの観ゲル・アンヘル(MA)ロペス。意外にも自身はじめてとなる、グラン・ツールの総合リーダージャージ、マイヨ・ロホを着ました!
「チーム全体に感謝したい。メンバー全員の努力が勝利につながった。誰が先頭でフィニッシュするかは決めていなかったけど、最終コーナーを抜けたところで前を走るゴルカ(イサギレ)が交代したので自分が先頭に出た。チームとして過去数年間TTの走りの改善に努めてきたので、この勝利を喜びたい」
cyclowired.jp「アスタナがブエルタ初日のチームTTを制する ユンボヴィズマは落車で失速 」
第2ステージ:ここで勝つの!? ナイロ・キンタナ
さっそくの「ブエルタの洗礼」というか…獲得標高差が3,300mになったり、最大勾配18%の激坂が出てきたりの199.6km。
あれよあれよと、ログリッチェ、ウラン、キンタナ、ニエベ、アル、ロッシュという超豪華な面子がフィニッシュに向かう平坦を逃げる展開に。
その中から飛び出したのは、キンタナ!
平坦ゴールのキンタナ!
一緒に観ていたうちの小学2年生の息子も「え~? 山じゃないのにキンタナ!?」などと生意気にコメントしていました。
「今日のような勝ち方は初めて。でもどんなことにも初めてはある。とても美しく、スペシャルな勝利だ。チームも自分も今日のような勝利を必要としていた」
「作戦は決まっていなかったけど、2級山岳プイグ・ジョレンサ峠を越えた時点で予想以上に人数が減っていた。アレハンドロ(バルベルデ)と一緒にその展開をうまく利用したんだ。6名が先行してからは協調体制を築けていたし、上手く後続にタイム差をつけることができた。そして最後はニックネームのコンドルに見合うような、空を飛ぶようなポーズでフィニッシュ。支え続けてくれる人々に、まだナイロは健在であることを見せつけたかった 」
cyclowired.jp「 大会2日目に早くもマイヨロホ争い勃発 キンタナが独走勝利し、ロッシュが首位に 」
ほら~! キンタナ健在!
バルベルデとのダブル・エース状態は気になりますが…応援しています!
第3ステージ: やっと大集団スプリントに。サム・ベネットの貫禄勝利!
「ピュア・スプリンターは来ない」などと言われる、スプリンターにはつらい勾配のコースがてんこもりのブエルタ。
UAEエミレーツのフェルナンド・ガビリアは、初日の落車の影響もあってか、途中で遅れてスプリントに参加することはできませんでした。
力強いスプリントでボーラ・ハンスグローエのサム・ベネットが勝利!
ベネットの勝利の言葉。全然スプリンター向けじゃないブエルタで勝つスプリンター。これもまた、美しいものだなあと思いました。
「この勝利で残りのステージを楽に挑むことができる。ブエルタには平坦ステージが多く設定されていないので、今日もし勝てていなかったら次のチャンスまでずっと待ち続けなければいけなかった」
cyclowired.jp「ブエルタ最初の大集団スプリントでアイルランド王者ベネットが快勝」
山岳が厳しいグラン・ツールだろうとなんだろうと、「勝てるところで勝つ」のが仕事。それを立派にこなしたベネットです。えらいよ。
ベネットはサガンと同じ1990年生まれで、もうすぐ29歳。ボーラにはサガン、アッカーマンに次ぐ位置に甘んじており、来季は移籍が噂されています。(もう決まりました?)
第4ステージ:タイヤ差以下の僅差でベネットを下し、ヤコブセンが勝利
今日も優勝候補のひとりだったサム・ベネットが、ゴール手前のラウンダバウト(Round About:環状交差点)で間違っ方向にコースをとってしまい、遅れてしまいます。
最後はタイヤ差以下。写真判定により目視では難しいほどの僅差で…
ドゥクーニンク・クイックステップのファビオ・ヤコブセン、勝利!
ドゥクーニンクは報酬の高いベテラン勢を中心に選手大放出中。22歳のヤコブセンを最後までリードしたスティバルもリケーゼも来季の移籍が決まっています。
「昨日チームは少し行儀が良すぎたようで、今日はイニシアティブを取ることにしたんだ。カヴァニャが大きくリードするほど強力な先行を見せ、最後はスティバルとリケーゼにリードアウトされた。彼らはリードアウトにおいて世界最高峰の選手たち。残り200mの時点で完璧なポジションに連れていってくれた」
「スプリンターにとってグランツールのステージ優勝は夢のひとつ。22歳の若手として経験を積むため、そして勝つためにブエルタに出場していた。いつか勝てるとは思っていたけど確証はなかった。自分の国の色を着て勝つのは素晴らしい気分だ。2020年のブエルタはオランダで開幕するので、そこでもステージ優勝したい。まだレースプログラムは何も決まってないけど、自分の国で開幕するグランツールでのステージ優勝はスペシャルなものになる」
cyclowired.jp「その差わずかに数センチ ベネットを僅差で破ったヤコブセンがステージ初優勝」
22歳のヤコブセンはまだまだウルフ・パックことクイックステップで活躍しそうです。来年もクラシック・シーズンからブエルタまで、期待大ですね!
第5ステージ:山岳賞ジャージのマドラソが、山頂フィニッシュを制す
今大会初の1級山岳、そして山頂フィニッシュのステージ。
連日、逃げにメンバーを乗せていた鮮やかな紫のユニフォームのブルゴス-BH。この日も山岳賞ジャージを着ているブルゴスのマドラソ、ボル、コフィディスのホセ・エラダの3人が10分以上の差をつける逃げ。
マドラソは何度か逃げ集団から遅れつつ、最後はカウンターアタックでステージ勝利をかっさらいました!
グラン・ツール初勝利! スペイン出身の31歳。 大金星です。
「サイクリストとして最高の勝利。夢が叶った。山岳賞ジャージが自分の背中を押してくれた。最初は山岳ポイント獲得のための逃げだったけど、大きなタイム差が開いたのでそのまま逃げる作戦に切り替えたんだ。チームからは明日のステージに向けて力を温存するように言われていたけど『いやいやいや、今日狙っていく。今日できることは今日するんだ』と彼らに言った」
cyclowired.jp「山岳賞トップのマドラソが大会最初の1級山岳制覇 ロペスが首位に返り咲く」
総合争いでは、MAロペスがライバルたちからタイム差を奪い、再びマイヨ・ロホを着ました。
第6ステージ:前日の兄の雪辱!ヘスス・エラダ
それほどきつくはないけれど、3級山岳の山頂フィニッシュ。この日も「逃げ勝利」向きのコースでした。
イネオスのデラクルス、バーレーン・メリダのトゥーンス、ユンボ・ヴィスマのヘーシンクと、総合首位から5分差前後の上位の強力なメンバーが入った11人の逃げ。
それでもMAロペス擁するアスタナは、さほど追わず。まだマイヨ・ロホに執着を見せない感じです。
最後はトゥーンスとコフィディスのヘスス・エラダのタンデム走行になりましたが…
ヘスス・エラダ勝利!
ヘスス・エラダは、スペイン・カスティーリャ地方出身の29歳。昨日のステージで3人の逃げに乗りながら惜しくも勝利を逃したホセ・エラダは、5歳年上の兄です。
「コースをよく知っていたので開幕前から優勝を狙っていたステージだった。昨日僅差でステージ優勝を逃した兄や現地に駆けつけてくれた家族、パートナーにこの勝利を捧げたい」
「今日は逃げ形成まで熾烈を極めて、ステージ中盤の時点では逃げ切れるかどうかわからなかった。トゥーンスが加速した時、彼にすかさず付いて行ってスプリントに向けて力を温存したんだ。シーズン最大の目標レースで結果を残せて本当に嬉しい。もう帰宅してもいいと思えるほどだけど、この先にあるチャンスもしっかり掴みたい」
cyclowired.jp「3級山岳でエラダが前日の兄のリベンジ達成 2位のトゥーンスがマイヨロホ獲得」
この「帰宅してもいい」発言は、若干物議をかもしましたが、大丈夫。このインタビューを読むかぎりは言い切ってはいません。比喩。
勝利を逃したトゥーンスですが、マイヨ・ロホをゲット!
トゥーンスのツールでの勝利の記事↓
第7ステージ:アレハンドロ・バルベルデ の鉄板の展開!
キター! 激坂山頂フィニッシュのステージで「ビッグ・フォー」による総合争い。
モビスターのバルベルデ、キンタナ、ユンボ・ヴィズマのログリッチェ、アスタナのMAロペス。
まあ、私はロペスを応援していましたが… タイミングが命のスプリント勝負になればこの人。
アレハンドロ・バルベルデ、勝利~!
今大会最年長の39歳。ディフェンディング・チャンピオンじゃなくても栄誉ある「1」ゼッケンをもらう、現世界チャンピオン=アルカンシェルです。
「全てのチームメイトと、特に厳しい山岳で素晴らしい走りをしてくれたナイロに感謝したい。ログリッチェとロペスを置き去りにしようと試みたけれど、実力が拮抗していたので一定ペースで走ることに切り替えた。それで僕にステージ優勝のチャンスが回ってきたんだ。上手く走れていたし、あの展開では最悪でも4位は確保できる。 あのメンバーの中では一番スプリントがあると分かっていたので状況をコントロールすることに努めた。まだまだフィニッシュまでは長い道のりだけど、現時点で僕とナイロは今回トップ4の登坂力があることが明らかになったね」
cyclowired.jp「 最年長バルベルデが激坂山岳決戦を制す ロペスがマイヨロホ返り咲き 」
来年のオリンピック・イヤーをもって引退、と明言しています。強いバルベルデのまま、東京に来てもらいたいですね!
再びマイヨ・ロホを着たMAロペス。
第8ステージ:ニキアス・アルント
舞台はカタルーニャ地方に。小さなアップダウンが続く中級山岳コース。
21名の大逃げ集団が形成され、勝負どころと見られた最後の2級山岳を降りても、まだ混戦。しかも雨が降ってくる。
最後は小集団スプリント。
勝ったのは、サンウェブのニキアス・アルント!
「アメージングだ。昨日”明日は逃げに乗ってステージ優勝を狙いたい”とチームに伝えていたけれど、それが現実のものとなった。信じられないような気分だよ。スーパーハッピーだ。逃げにマーティン(トゥスフェルト)がいてくれたことでチームとしてスマートに走ることができた。彼がアタックを繰り出して、僕は後方で脚を溜めることができたんだ。僕はスプリントを待つだけで良かったし、終盤はアタックに反応していただけ。じっくりとそのタイミングを待っていたんだ。コンディションが非常に良く、今日は逃げて勝てるだけの自信があった。間違いなくキャリアの中でも最高の勝利の一つと言えるよ」
cyclowired.jp「 大逃げの一日 アルントがステージ優勝を、エデがマイヨロホを獲得 」
2016年のジロで、1位のニッツォーロが斜行により降格になり、ステージ優勝したことがあります。グラン・ツール2勝目!
陽気さがにじみ出るドイツ出身の27歳です。
またしてもマイヨ・ロホを手放したMAロペス。逃げ集団にいたコフィディスのニコラ・エデが総合リーダージャージを着ました!
第9ステージ:悪天候に強いの?タデイ・ポガチャル
スペインとフランスに挟まれるアンドラ公国。94kmという短いコースに5つの山岳が詰め込まれたギザギザコース。
いかに難しいコースか、アンドラ在住のホアキン・ロドリゲス(プリトー)が出てきて解説していました。
プリトーとカタルーニャについてはこちらの記事で「ボルタ・ア・カタルーニャ2019―まとめ:スーパーマンとアスタナの勝利」
30名の逃げ集団に、ユンボ3名、アスタナ2名、モビスター2名が含まれ、グラン・ツール恒例の「前待ち作戦」も楽しみな、ワクワクもんの展開になりました。
まずアスタナの前待ち作戦が炸裂!! メイン集団から飛び出したロペスを、逃げ集団にいたゴルカ・イザギレ、フルサングがアシスト。ライバル勢を引き離します。いけいけ!!
と、思っていたら……豪雨、というか雹。ヘリが飛ばなくなり、バイクカメラの映像がとだえ、ゴール前の定点カメラの映像に。
ツール・ド・フランスの悪夢がよぎりましたよね…
映像が戻ると、先頭にはモビスターのマルク・ソレル。後方からはキンタナ。そしてUAEチーム・エミレーツのタデイ・ポガチャル。MAロペスは落車して順位を落としてしまったようですorz
今度は、モビスターの前待ち作戦が炸裂!!
と、思いきや、ステージ優勝に未練があるのか(そりゃあるだろうが)、首を振るソレル。しぶしぶキンタナを牽くソレル。ひとりポガチャルを追うことにしたキンタナを見もしないソレル。
「忠誠心のかけらもない」と解説の栗村さんも苦言を呈しておりました。
そんなんで、ただでさえ強いポガチャルに、勝てるわけがありません。
「昨日の晩に天気予報を見て喜んだよ。悪天候は自分にとってパーフェクトだった。最後の登り手前の未舗装路でアタックして、最後はキンタナに反応して残り3kmで加速した。残り1.5km地点で20秒のリードを得ていたし、信じられない気持ちに包まれながらフィニッシュまで走った」
cyclowired.jp「 未舗装路を含む雨のアンドラ山岳で20歳ポガチャルが初勝利 キンタナが首位浮上 」
1998年スロベニア生まれの20歳。昨年のツール・ド・ラヴニールで総合優勝、今年のツアー・オブ・カリフォルニアで総合優勝!
このブエルタでも総合5位にジャンプアップ。ちょっとちょっと~。
マイヨ・ロホはキンタナが着ました。毎日、めまぐるしくリーダージャージが入れ替わります。
それにしても、モビスター。やっぱりワチャワチャです!
「今日は総合のライバルを少しでも引き離すのがチームの作戦だった。だから(ステージ優勝のチャンスがあった)マルク(ソレル)が待ってくれたことに感謝している。アレハンドロ(バルベルデ)と自分はここまで協調して走れており、状態の良い選手がエースを担うことになっている。個人タイムトライアルでリードを失ったとしても、チームとして総合優勝を目指して戦っていく」
cyclowired.jp 「 未舗装路を含む雨のアンドラ山岳で20歳ポガチャルが初勝利 キンタナが首位浮上 」
第9ステージ後のキンタナのコメント。ソレルは、ステージ後に自分の態度について謝罪したそうですが…
第9ステージ序盤に解説の栗村さんが、モビスターを
「オレがやる!」「オレが!」「オレが!」「オ、オレが!」「どうぞ」
のギャグのあの人たちに例えていました。
それを聞いて依頼、ずっとこの絵が頭から離れません。バルベルデはやっぱこのポジションですよね。
三味線(=辛そうなフリをして前を牽かないこと)の上手さで、日本では長らく“師匠”と呼ばれてきたバルベルデ。
ここにきて、ダチ○ウ倶楽部のボケに就任するとは…
それにしても、今年のブエルタ、モビスターがトリプルエースにならなかったことが悔やまれます…! まあ、ソレルが入ればいいか。
去年、バルベルデがアルカンシェルを獲ってさいたまクリテリウムに来ることになって、はじめてさいたまクリテに行く決断に至った私です。
モビスターが一層面白くしてくれるブエルタ。
2週目も楽しみです!