あの日、私は夫方の法事で地方にいました。
あの日って?
もちろん、ポガチャルがああしてログリッチがこうしたツールドフランス第20ステージですよ。私が自宅に戻ってきてツールを観戦できたのは最終日の2日後。今、そこから3日経ちました。(ややこしいな)
いまだに呆然としています。
結果もまとめたいのですが、とりあえず、2020年のツールドフランスの総合順位に対する個人的な感想を書いていきたいと思います。
第20ステージ後の心象を表現することこんな感じでしょうか。
マイヨジョーヌのことでいっぱいなはずなのに、なぜか近鉄バッファローズのことを思い出しました。
近鉄が巨人に4連敗した日本シリーズ
1989年。
西武ライオンズの黄金時代、森祇晶監督の1986〜94年。9年間で8度のリーグ優勝、6度の日本一に輝いた時代。その中で唯一、リーグ優勝できなかった年。
1989年に日本シリーズにいったのは近鉄バッファローズでした。
多摩湖近辺で育った私は、当時はバリバリの西武ファンでした。小学校のクラスメイトも90%西武ファンでした(巨人ファンと中日ファンが1人ずついた)。
当然、この年の日本シリーズはパ・リーグで西武を下した近鉄を応援していました。
多摩湖をご存知ない方はこちらの記事もどうぞ。西武のホームグラウンドは多摩湖の隣です
その1989年の日本シリーズは、球史に残る大逆転劇で幕を閉じました。近鉄が3連勝の後、巨人に4連敗!!!
最後の2敗はホームの藤井寺で。ファンにとっても悪夢だったでしょうね。
この歴史的4連敗については、3勝後のインタビューで近鉄の選手が「シーズン中の方がしんどかった」という発言に、「巨人がロッテより弱いってことか(ロッテがシリーズ2位だったから。西武は3位)」と巨人の選手が発奮して4連勝した、というストーリーが語られています。ちなみに当時はクライマックスシリーズはありません。
巨人に「その通りだよ!ロッテより弱いんだよ!」と言ってやりたかったのに、逆転日本一になっちゃったorz (アンチ巨人ではありません。パの方が好きなだけ)。ちなみに当時は交流戦もありませんでした。
近鉄に足りなかったのは「勝ちの経験値」かも
あの年のバッファローズが強かったのは間違いない(全盛期の西武倒してるし)。しかし、日本一をとるためには、日本シリーズの経験、もっというと日本シリーズで勝つための「勝ちの経験値」が足りなかったんじゃないかなー、と思うんです。
やっぱり、当時の西武は日本一の取り方を知ってたんだと思います。この年を挟んで1986、87、88、1990、91、92と3年連続日本一を2回やってますからね(我がことのように自慢)。
そんな西武も今では勝ち方をすっかり忘れてしまいましたが……野球の話はこのくらいにして。
今年のツールのユンボ・ヴィズマ
あくまで個人的な見解です。
野球とロードレース、4連敗と一発逆転、と全然違うのは承知であえていいますが、今年のユンボ、あの年の近鉄と同じ。
私はフルームのファンですので、ユンボかイネオスかでいえばイネオスを応援していました。しかし、イネオスのエースのベルナルが2週目で総合争いから脱落。それは、2014年から5年連続で総合優勝していたイネオスが敗退した瞬間でもありました。そして、総合首位に経ち続けたユンボ・ヴィズマ。
構図、似てるでしょ?
ポガチャルが強かった。個人タイムトライアルのコースを3度試走し、バイク交換もチューニングも完璧。UAEがチームとして完璧に対処した。
ログリッチだってステージ5位で走った。バッドデーだったかもしれないけど、しっかりまとめてた。ポガチャルが異次元だった。
そうかもしれないけど!
総合優勝に必要な何かが、ユンボに足りなかったのかな? と思わずにはいられません。それは「勝ちの経験値」ではないでしょうか。
ロードレースでは、裸のエースは蹴落とされるんじゃないの?
今まで、といっても2013年くらいから数年ですが、総合争いに躍り出た選手が総合本命チームに蹴りとばされて、総合順位表を転がり落ちていく、というシーンをたくさん見ました。乱暴な言葉を使っていますが、本気でこういうイメージ持ってます。
デュムランは2015年のブエルタで、アスタナにけちょんけちょんにやられたし、
クライスヴァイクが2016年のジロで雪の壁に激突したのだって、アスタナの波状攻撃(+鮫)で疲弊させられたのが原因の一つといわれてるし、
あれ、ここまではオランダ人🆚アスタナだけど……
リッチー・ポートは2017年のドーフィネで、フルームが「君が勝利にふさわしい」と言った直後、他の選手と共闘してポートを1位の座から引き摺り下ろしたことをいまだに許せない、と言ってた。
リッチー、総合3位おめでとう!
ユンボが手ぬるい? ポガチャルが規格外?
そういう駆け引きが、今回どのくらいあったのかなー。手ぬるかったんじゃないの? と思ってしまう。敵を蹴落とすノウハウが足りなかったんじゃないのか、と。(その点、アスタナはえげつないほどの攻撃的DNAでも持ってるのかな)
でも、ポガチャルが規格外、というほうが正解なのかもしれない。普通、エースが丸裸=ピンチだったはずなのに、ポガチャルずっと丸裸だったのに。おかしい。
綾野さんのレポートのタイトルも「世話の要らないマイヨジョーヌ」ってついてる。やっぱり、ポガチャルか……
ツール・ド・フランス2020現地レポートby綾野 真「世話の要らないマイヨジョーヌ」 冷静さと回復力が武器の若きツール覇者ポガチャル cyclowired.jp
ユンボは勝ちに戻ってくる!
ユンボのリチャード・プルッヘGMの言葉
「最初はベルナルを、そして途中からはポガチャルに対して闘ってきた。彼らに対してなるべく差をつけることを考えて闘い、それはうまくいっていたように思った。57秒差は十分な差だと思っていたが、今にしてみればたぶんそれが間違っていたと言うこともできるだろう。それについてはこれからのために分析しなければならない」
中略
プルッへGMが失意の選手たちにかけたのは「一致団結しよう。顔を上げて外を歩こう。まだ我々にはガッツがあることを示そう」という言葉だった。
「世話の要らないマイヨジョーヌ」 冷静さと回復力が武器の若きツール覇者ポガチャル cyclowired.jp
ログリッチ
「人生には何も確かなことはないんだ。とくにサイクリングではね! つまりはそんなことなんだ。でも僕はこんなことがあっても楽観的だし、自分を信じている。チームは素晴らしい力を見せたし、僕もチームを信じている。ツールには絶対にまた勝ちに戻ってくるよ」
同上
ちなみに、近鉄バッファローズは1989年以降、日本シリーズに一度も出ることはありませんでした。その後オリックスと合併して現在に至ります。(最後にバッファローズをディスるようですみません。しかし事実ですので…)
でもユンボは違う。
来年のツールが……楽しみです……
だめだ、まだ喪失感ある……