子どもの小学校保護者会を転戦し(一昨日:高学年、昨日:低学年)、ねらいどおり委員の座をゲットしましたA田です。決して勝ちではありませんが…
4月14日(日)のパリ~ルーベ、盛り上がりましたね! 私もJ Sportsオンデマンドでほぼリアルタイムで見ました。また、J Sportsのレビュー番組「月チャリ」「オサライ」も追いつき視聴しました。
色んな感想が渦巻いてしまいますが、今回は、J Sportsの中継と2つのレビュー番組を見てわかる「フィリップ・ジルベールという男」でまとめてみました。私がジルベールをかなり好きなので熱くなってしまいました…
J SPORTSオンデマンドの公式サイトはこちら。「ミドコロ」「パリ~ルーベ」「月チャリ」「オサライ」、いずれも2019年6月30日まで視聴可能です(公開日現在の情報)。
「ミドコロ」についての記事はこちら「パリ~ルーベ2019予習―J SPORTS「ミドコロ」が必見な理由」
パリ~ルーベについてはこちらもどうぞ
「 3月末~4月前半開催レース予習。北のクラシック=フランドル+パリ~ルーベ」
「パリ~ルーベの勝者が掲げるトロフィーは石! 地元のメゾンがつくっています」
「ジルベールがパリ~ルーベを勝つとは一度も思わなかった」
残り10km、サガンの遅れが明白なものとなり、ポリッツとジルベールの2人が先頭にたったとき。解説の栗村さんが「ジルベールがパリ~ルーベを勝つと思ったことは、一度もないですね」とポツリ。ダブル解説の辻さんも「ごめんなさい、ジルベールさん」と続いていました。
それもそのはず。ジルベールは脚質パンチャーの「アルデンヌ・クラシックの名手」であり、石畳に強い重量級でもなければ、長く独走できるルーラーでもありません。
ちなみに、パリ~ルーベの出場選手がいかに重量級か。
出場選手の平均身長は185cm、平均体重74.1kg。参考までに、登りで勝負が決するリエージュ〜バストーニュ〜リエージュでは概ね平均身長180cm、平均体重66kg。重量級クラシックレーサーたちがパヴェに挑む。
cyclowired「 春の石畳最終決戦の時が迫る ルーベを目指す121年目の「クラシックの女王」 」
一方、ジルベールは身長179cm、体重69kg。石畳のクラシックに向けて調整してきたとはいえ、決して「石畳向き」の体格ではありませんね。
そんなジルベールの勝利の要因は?
「特に展開に恵まれたというのではなく、ジルベールが一番強かった」と栗村さんも辻さんも言っていました。何度も自らアタックを仕掛ける積極的な走り。ジルベールらしさの集大成という感じの勝利でした。
「こんな物語、あるんですね」挑戦を続けるジルベールに勇気をもらう
ジルベールは1982年ベルギー生まれでプロデビューは2003年。キャリア15年以上今年37歳になる大ベテランです。現FDJ、現ロット・ソウダル、BMCで活躍。
レース後、ジルベールはこのように語っています。
パンチャーに分類される脚質なので、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュやアムステルゴールドレース、イル・ロンバルディアにキャリアの前半を捧げてきた。でもある所でギャンブルに出て、違うことに挑戦しようと思ったんだ。ロンド・ファン・フラーンデレンの常勝チームであるクイックステップへの移籍も賭けだった。でもすぐにその結果が出始めた。チーム移籍1年目にロンドを制し、その2年後にルーベで優勝。人生でもスポーツでも、常に新しいことに挑戦し続けないといけない。これは自分自身を信じ続けた結果だ。
cyclowired.jp「ジルベール「これは新しいことに挑戦し続けた結果」ポリッツ「来年の大会が楽しみ」」
2017年、34歳で年俸大幅減で現ドゥクーニンク・クイックステップへ移籍し、その年にロンド・ファン・フラーンデレンで優勝。しかし、物語にはさらに続きがあったわけです。
「置きにいっちゃだめだ…!」
栗村さん、「月チャリ」でほぼ同い年の谷口さん相手に吐き出していました。わかります! 全国の30代、40代がうなずいていたと思います。
また、「オサライ」では、「36歳のジルベールが石畳のレースで勝てるように肉体改造した」と聞いて、女子アスリートたちが感嘆するシーンがありました。彼女たちの真剣な表情から、どれだけ困難なことなのかがわかるような気がして、印象に残っています。
ここで余談、というか自分で書いた記事へのアンサーですが、「オサライ」では女子たちのロードレースファンとしての成長がすごかったですね。特に石井てる美さんには「ぐぬぬ…元マッキンゼーめ…」と、違う感情を呼び起こされました。
「膝が割れてもサムズアップ」TDF2018の大落車
話は前後しますが、レース後、ジルベールが昨年のツール・ド・フランス(TDF)で落車した話が出ました。
ジルベールは第16ステージ、2級山岳をトップで通過した後、ダウンヒル中にカーブでコースアウトして崖へ落下。しかし。
「膝が割れているのにサムズアップしてましたからね」と栗村さん。
「血まみれで敢闘賞を受け取っていましたね」と辻さん。
落車後、カメラに向かってサムズアップしてバイクにまたがり、走り始めるジルベール。動画では谷口さんと飯島さんが「バイク交換もしないんですかね!?」と心配していました。
ジルベールにとっては「念のためにバイク交換を」よりも、「なんでもない、大丈夫」とヒラリとバイクにまたがる方が自然だったのだろうと思います。かっこいい。
ちなみにジルベールの2級山岳での動きは、山岳賞ジャージを着ていた同僚アラフィリップのためのものでした。山頂をトップ通過して、ライバルの山岳ポイントを消したのです。
ジルベールはこのステージを完走、敢闘賞を受賞した後、左膝膝蓋骨骨折でリタイアしました。
アラフィリップについてはこちらの記事もどうぞ「縦ノリ横ノリ系ライダーがモニュメント初制覇! ミラノ~サンレモ2019」
「黄金のタレ」は過去の称号(でも永遠の鉄板ネタ)
もうひとつ、日本のロードレースファンが大好きな栗村さんの持ちネタですね。「月チャリ」で試行、「オサライ」で本番、という感じで披露されていました。
ジルベールはファイトあふれるパンチャー。主に上り区間でアタックし、キレッキレの脚で周囲の選手を引き離すのですが、その後平坦になるとお約束のようにタレる(失速する)ので、「黄金のタレ」と呼ばれていたそうです。
近年、ベテランの域に入ってからは、そういったこともなくなりました。でも「黄金のタレ」は日本人ロードレースファンの胸に永遠に刻まれる、鉄板ネタだと思います(タレだけに)。
ちなみに、パリ~ルーベ後のインタビューで、ジルベールはこう語っています。
いつもフィニッシュまで距離を残してアタックするムセーウのような、パナッシュ(観るものを興奮させる意外性)溢れる走りが昔から好きだった。ロンバルディアで勝った時も、ロンドで勝った時も、フィニッシュまで50km程度を残したアタックだった。
cyclowired「 春の石畳最終決戦の時が迫る ルーベを目指す121年目の「クラシックの女王」 」
ヨハン・ムセーウは1990年代から2000年代はじめにかけて活躍したベルギー出身の選手です。
計算された戦術だけじゃない、「意外性」もこの競技の魅力。自分の理想とする走りを貫いているジルベールです。
ジルベールは、来年以降ミラノ~サンレモをとって、史上3人しか達成していないモニュメント全制覇を遂げるのでしょうか!
楽しみです!