息子が右腕を骨折しました。サッカーもできずプールにも入れず、自転車にも乗れず。体力があり余る小学生男子をどうするか、悩んでいるA田です。
ツール・ド・フランス、終わりました(4日前に)!
グラン・ツールって、2週目が終わるまでは「まだまだ」とだいぶ余裕があるんですが、2週目中盤からすごい勢いで終わりに突き進んでいきますよね。
特に3週目の最後のアルプス決戦ではショックを受け、しばらく衝撃から立ち直れませんでした。
まとめていったら長くなりましたので「例のあの日」の前でいったん区切りました。どうせだからと、ナイロ・キンタナについて色々書きました!どうぞ!
ツール・ド・フランス2019、3週目の結果一覧
まずは結果一覧です。
1週目、2週目の結果はこちらの記事へ「【ツール・ド・フランス2019】1週目St⑥~⑩―フランス革命記念日にマイヨ・ジョーヌを着るのは誰」「【ツール・ド・フランス2019】2週目St⑪~⑮―アラフィリップ&ティボー・ピノ勝利、大統領と握手」
日程 | Stg | コースなど | ステージ優勝 | 総合順位 |
7/23(火) | 16 | 平坦 177km ニーム | カレブ・ユアン(ロット・ソウダル) | 1.アラフィリップ 2.トーマス +01:35 3.クライスヴァイク +01:47 4.ピノ +01:50 5.ベルナル +02:02 山岳:ウェレンス ポイント:サガン 新人:ベルナル |
7/24(水) | 17 | 平坦 200km ポン・デュ・ガール | マッテオ・トレンティン(ミッチェルトン・スコット) | 1.アラフィリップ 2.トーマス +01:35 3.クライスヴァイク +01:47 4.ピノ +01:50 5.ベルナル +02:02 山岳:ウェレンス ポイント:サガン 新人:ベルナル |
7/25(木) | 18 | 上級山岳 208km アンブラン~ヴァロワール | ナイロ・キンタナ(モビスター) | 1.アラフィリップ 2.ベルナル +01:30 3.トーマス +01:35 4.クライスヴァイク +01:47 5.ピノ +01:50 山岳:バルデ ポイント:サガン 新人:ベルナル |
7/26(金) | 19 | 上級山岳 126.5km アンブラン~ヴァロワール | なし | 1.ベルナル 3.トーマス +01:11 4.クライスヴァイク +01:47 5.アラフィリップ 5.ピノ +01:50 山岳:バルデ ポイント:サガン 新人:ベルナル |
7/27(土) | 20 | 上級山岳 130km アルベールヴィル~ヴァル・トランス | ヴィンチェンツォ・ニバリ(バーレーン・メリダ) | 1.ベルナル 2.トーマス +01:11 3.クライスヴァイク +01:31 4.ブッフマン +01:56 5.アラフィリップ +03:45 山岳:バルデ ポイント:サガン 新人:ベルナル |
7/28 (日) | 21 | 平坦 128km ランブイエ~パリ シャンゼリゼ | カレブ・ユアン(ロット・ソウダル) | 1.ベルナル 2.トーマス +01:11 3.クライスヴァイク +01:31 4.ブッフマン +01:56 5.アラフィリップ +03:45 山岳:バルデ ポイント:サガン 新人:ベルナル |
第16ステージ:カレブ・ユアンの2勝目 = ロットの3勝目!
この日は古代都市ニームを出発して戻ってくるスプリント・ステージ。途中、世界遺産のポン・デュ・ガールを駆け抜けました。
アスタナのヤコブ・フルサングが落車し、リタイヤしてしまったステージでもあります。第3ステージで落車し、第10ステージでは横風分断によって遅れ。それでも9位につけていたんですよ。初のグラン・ツール表彰台に上がってくれるかと、応援していただけにショックでしたorz ちなみにL.L.サンチェスも背中の痛みにより、この日リタイヤしました。
イネオスのゲラント・トーマスも落車しましたが、幸い怪我もなくまもなく集団に復帰しました。
スプリントを制したのは、ロット・ソウダルのカレブ・ユアン! 2勝目です。
「正直に打ち明けると今日はあまり調子が良くなかった。残り1kmの時点では理想的な位置どりではなかったものの、クイックステップのトレインに乗って大きくジャンプアップ。暑さにやられていたけど、現地に駆けつけてくれた妻と娘の存在がモチベーションになったんだ」
cyclowired.jp「『ポケットロケット』ユアンが灼熱の集団スプリントで今大会2勝目をマーク」
娘さんが生まれたばかりだそうです。
結果一覧を見ればわかりますが、ユアン、このあとシャンゼリゼで勝ちますからね。すごい!!
第17ステージ:トレンティンの大逃げ勝利=ミッチェルトン4勝目
ポン・デュ・ガールを後にして、南アルプスの街ギャップへ。翌日からはアルプス3連戦が始まります。ここを最後のチャンスとばかりに、逃げ切り勝利を狙う選手たちが33名の大逃げ集団を形成。ヴァンアーヴェルマートやデヘント、モレマなど、有力どころがいっぱい含まれていました。
最後の3級山岳が始まる手前で、ひとり抜け出したのはミッチェルトン・スコットのマッテオ・トレンティン。これまでのステージでも何度か積極的な走りを見せていたトレンティンが、独走勝利を決めました!
「今日こそステージ優勝のチャンスがあると思っていた。そして、明日から3日間極めて厳しいステージが続くので、今日がラストチャンスだったんだ。今日は脚よりも気持ちで勝利をつかんだ」
cyclowired.jp「ツールはアルプスに到着 大逃げの中から飛び出したトレンティンが通算3勝目」
来年の移籍話があるトレンティン。関係ないとは思いますが、なんかすごい自由に走っている感じがありますよね。ラストチャンスをものにしました。
ヨーロッパ・チャンピオンジャージはツールで勝つ説
ヨーロッパ・チャンピオンジャージを着ているトレンティンは、イタリア出身で8月に30歳。まだけっこう若いんだな…すごい貫禄あるけど。
2016年から9月に開催されているヨーロッパ選手権。ここでチャンピオンになった選手が「翌年のツール・ド・フランスでヨーロッパ・チャンピオンジャージで ステージ優勝をかざる」という流れが3年続いているそうです。去年はアレクサンドル・クリストフ、一昨年はサガンです。今年は誰がヨーロッパ選手権を勝つでしょうかね。
ルーク・ロウとトニー・マルティンが危険行為で失格。暑すぎて…
ちなみにこの日、イネオスのルーク・ロウとユンボ・ヴィズマのトニー・マルティンが位置取り争いから互いに接触(故意に押し合った)。危険行為により、失格処分になりました。
ゴール後は、ふたり仲直りの握手をしたそうです。ふたりで謝罪、釈明もしましたが、処分が覆ることはありませんでした。
総合を争うトップ2チームの超優秀アシストが、ふたり同時に失格になったのは、かなりの事件でした。「厳しすぎる」「結果、フランス有利に…」など、大会運営側のフランスびいきを疑う声もありました。私も処分にがっかりしましたが…危ないことは確か。ドンマイ!
第18ステージ:キンタナの面目躍如!? 総合争いもしてほしいけど
アルプス3連戦の初戦。最後に超級山岳ガリビエ峠が登場する、獲得標高差4,700mのクイーン・ステージ。この日も30名を超える大逃げ集団ができました。 逃げ集団内でも激しいアタック合戦があり、縮小したり合流したり目まぐるしく戦況は動きました。
この大逃げ集団に、モビスターのナイロ・キンタナが入っていました。2週目の山岳ステージで遅れ10位圏外に総合順位を落としていたキンタナ。しかしこの日は、ガリビエ峠の上りで一発のアタックで他を引き離し、そのまま独走勝利!
「今朝の時点では逃げグループに入って、ミケル(ランダ)をアシストする作戦だった。狙い通り逃げグループに入ってイゾアール峠をクリア。そのまま逃げグループで走り続け、ステージ優勝のチャンスが巡ってきたんだ」
「とは言え状況は複雑で、アンドレイ・アマドールが全てのアタックを封じてくれた。ガリビエ峠では他の選手の疲れが見えたので、正しいタイミングでアタックしたんだ。ピレネー突入前の落車から回復するのに時間がかかったけど、標高のあるアルプスの峠でようやく自分の走りができた」
cyclowired.jp「キンタナが超級ガリビエを独走 ベルナルが挽回し、アラフィリップが首位を守る」
エガン・ベルナルもアルプスに入ってから「標高があがって体調がいい」と言っていました。コロンビア人クライマーの高地耐性はすごいですね。実際、ベルナルはこの日、アタックして総合2位にジャンプアップしました。
「村長」という愛称(日本で)で親しまれている、29歳。
2012年にモビスターに加入し、ワールドツアーデビュー。2013年に23歳でツール・ド・フランス初出場。フルームと競って総合2位。2014年はジロで総合優勝。2015年ツール総合2位。2016年ツール総合3位、ブエルタ総合優勝。2017年ジロ総合2位。
昨年は2013年以来はじめて、グラン・ツール表彰台に上りませんでした。ただ、昨年もステージ勝利はあげており、今年もこの勝利で面目は保ったかたちになりました。
とにかく、元気なく見えたキンタナが、ステージ優勝してくれて私は嬉しい!
2013年からツールを見始めました「平成最後に5月のロードレース配信予定―そしてロードレースとの出会いを振り返ってみた」
トリプルエースのモビスターは、本気で総合とる気あるの?
モビスターは、ミケル・ランダ、アレハンドロ・バルベルデ、そしてキンタナのトリプルエース体制。ワイワイガヤガヤしてて(?)見てるほうは楽しいのですが、「てっぺんとる気あるのか?」とも思います。
イネオスもダブルエース状態(フルームがいればトリプル)ですが、「より強い者が総合優勝を獲りにいく」という確固とした目標があってのこと。モビスターは… ?
結果、ランダ6位、キンタナ8位、バルベルデ9位と3人が総合10位以内に入ったわけで、成功といえば成功なんでしょうけど。あと、ジロではランダとカラパスのダブルエースで総合優勝をとったけど。
モビスター内でのキンタナ、大丈夫か。移籍も確定
総合順位はランダのほうが上だけど、ステージ獲ったのはキンタナだけ。キンタナが総合狙えるようなバックアップをしてたら…(あるいは今年ではなく、もっと早く…
しかし、キンタナのチーム内での立ち位置が心配になるエピソードはいっぱいあります。箇条書きにすると…
- 直前の月チャリで辻カメラマンが「バルベルデやランダたちがキャッキャウフフと食事してるなか、キンタナが離れたところでひとりで食べていた」と証言
- 第14ステージで、モビスターが牽引する集団から遅れていったキンタナ。レース後、バルベルデが「キンタナから不調だという報告がなかった」という
- 第15ステージで序盤から逃げに乗っていたキンタナを、後半しれっと追い抜いていくランダ。言葉もかわさず、ボトルも渡さず、完全にスルーだった
- アルケア・サムシックに移籍が決まっているとのこと。さらにアルケア・サムシックはカチューシャと合併という情報あり。
キンタナが移籍するというアルケア・サムシックは、フランス北西部、ブルターニュを本拠地とするプロコンチネンタル・チーム。カチューシャとくっついて来年はワールド・チームになるとしても。側近を連れていけるとしても。国際化も進むとしても。
地元ブルターニュ出身のワレン・バルギルがいるフレンチチームに馴染める? ブルターニュ人の気風のほうが合うかな?
とにかく、「キンタナはピークを過ぎた」などと人に言わせず、まだまだ30代で活躍してほしいです。
これからも楽しみです!