今朝、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネのヴィーニファンティーニが、スポンサーから撤退するかもしれない、という話を知りました。移籍話もどんどん出てきて、ロードレース界の動向の激しさにびっくりします。
さて。
ついにジロ・デ・イタリアが閉幕しました(2回目。まだここ)。
全ステージを振り返る記事をアップしましたが、ボリュームが多く、最終ステージのNIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネの初山翔について書くことができませんでした。
振り返り記事はコチラ「ジロ・デ・イタリア2019閉幕―全結果一覧&16~21ステージまとめwithカバーアート」
タイトルの通りなんですが、最下位で完走した初山に、なんと開催側がマリア・ネラ(Maglia Nera:黒ジャージ)を用意していたんです!ということで、今回は初山が来た黒ジャージにフォーカスしました。
※これまでの記事で、日本人選手を「~選手」と記載していましたが、今回から他の外国人選手と同じく苗字のみの記載にします。今後も、選手が解説者の場合には敬称をつけます
最終日の個人タイムトライアルは最下位の初山選手から出走
悪天候が多かった今年のジロ・デ・イタリア。最終日は、気持ちのよい晴天で、ヴェローナの街も美しかったですね。中継で何度か紹介されていましたが、ここはシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」の舞台になった街なんですね。この日のゴール、表彰台のあるアリーナ(円形競技場)は古代ローマ時代のもの。そこにピンクのカーペットが敷かれて…どえらい光景でしたね。
辻さんのレポートの写真が一番、臨場感ある気がします。cyclowired.jp「ヴェローナの闘技場を包む初山コールとエクアドル応援団の大声援(ジロ・デ・イタリア2019第21ステージ現地レポートby辻啓)」
ヨーロッパにロードレース観戦しに行くなら、春先?ストラーデ・ビアンケ?ニース?ベルギー?などと妄想していましたが、ジロにします(妄想)。
個人T.T.は、初日以外は総合タイムの遅い順からの出走になります。この日の第1走者は初山! 総合順位最下位ではありますが、単独逃げで注目を集め、再び逃げに乗り…しっかりと自分とチームをアピールして3週間を走り終えんとしている姿に涙。
初山の単独逃げの記事はコチラ「ジロ・デ・イタリア2019―NIPPOの初山翔選手が144kmを単独逃げ!フーガ賞獲得」
途中、2人に抜かれてのフィニッシュ。アリーナに入ったときは「HA・TSU・YA・MA! HA・TSU・YA・MA!」とコールされていました。
その後しばらくして、おそらく総合タイムが確定した後でしょうが…
初山が黒ジャージ「マリア・ネラ」を着用!その歴史とは…
初山がマリア・ネラを着ました! 公式には廃止されているマリア・ネラ。非公式であり、表彰はありませんが、それでもとても誇らしいことです!
マリア・ネラの歴史について、DAZNの解説でもおなじみのマルコ・ファヴァロさんが詳しいコラムを書いています。
マリアネラは1946年、第二次世界大戦の敗戦国となったイタリアの人々に勇気を与えるために誕生した背景があります。その面白さに人々が関心を抱き、総合優勝の戦いと同等に人を沸かせました。そのルールは単純明快でした。それは「スポーツに違反する行為をしてはいけない(やるなら隠れてやる)」「タイムアウトにならない」の2つです。
Cyclist SANSPO.com 「若手の登竜門で「ビリ賞」が復活 ジロ・ディタリアの歴史に残るもう一つの戦い(つれづれイタリアーノ<93>)」
総合タイムのもっとも遅い「ビリ」に贈られるマリア・ネラ。1951年まで、総合上位争いと同じくらい人々の関心を集めました。しかし、賞金が6位よりも高額ということもあり、わざと遅れようとする上記引用でいう“ルール違反”が目立ちすぎるようになり、廃止となったそうです。
ちなみに最後の受賞者はなんと、ピナレロ社を立ち上げたジョヴァンニ・ピナレロ。マリア・ネラの賞金を元手に同社を設立した、といわれています。
そんなピナレロ社のスポンサーで、2017年のジロ・デ・イタリアU23でマリア・ネラを公式ジャージとして復活させた、とマルコさんの記事は結んでいます。
人々に勇気を与える「マリア・ネラ」にふさわしい走り
本来は、人々を勇気づけるためのものだったマリア・ネラ。実際、負傷を追いながらマリア・ネラを獲得した選手もいました。
マリア・ネラは1967年の50回記念大会で一度復活し、さらに2008年には「黒いゼッケン」として復活しましたが、そのときもわざと遅れる行為が続発したため、やはり1年で無くなったそうです。
そんなマリア・ネラが今年、初山のために用意されたということは「初山の走りは正々堂々としたものであり、人々に勇気を与えるものだった」と認められたということなんだと思います。ブラボー!
はい。というわけで。
タイトル画像からお察しのことと思いますが、これをやりたくてこの記事を書いています。公式の各賞ジャージカバーアートに寄せたかったですが、これが精一杯でした。
各賞ジャージの公式カバーアートをご紹介
おまけで、第21ステージの後、公式にアップされた各賞ジャージのカバーアートをささっとご紹介します。
日本人グラン・ツールレーサーとして大きな一歩を刻んだ
初山のマリア・ネラは、選手のアイコン化でおなじみの「pro cycling trumps」のアニメに入っています!
ちなみにマリア・ネラ、J SPORTSオンラインショップで発売中だそうですよ。
新城選手や別府選手のように世界的に有名な選手ではない自分のことを、ジロという大舞台で『初山コール』が起こるほど応援してくれるというのは言葉では言い表すことができない気持ちでした。
cyclowired.jp「 カラパス「不可能なことなんて無い」 初山「応援を裏切ることはできなかった」( ジロ・デ・イタリア2019第21ステージ 選手コメント ) 」
第16ステージは山岳がきつくて寒くて、とにかくきつかった。監督から「リタイアするか?」と聞かれたら「はい」って答えていたと思います。やめれば楽になるけれど、後味の悪さも残ると思いました。開幕前から「完走が目的じゃない」と言ってきましたが、走り続けていると自分の完走を本気で応援したり祈ったりしてくれる人がたくさんいた。それを裏切ってしまうことはできないと思いました。
同上
初山選手は、さっそく今週末の「ハンマーシリーズ リンブルフ」に出場するとのことです!
ハンマーシリーズの記事です「ハンマーシリーズのここが「弱虫ペダル」―画期的な形式、ルールを解説!」
NIPPOがどうなるか、は置いておいて。
楽しみです!!